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朝ドラ・4ヒロインの比較分析(10) [物語]

今日の「梅ちゃん先生」の最後に、ナレータが「何時も近くで見守ってくれている父の姿が
なぜか遠くに感じた梅子(堀北真希)だった」といった言葉が、今日の話と余り関係ない
様に思えた。しかしそれは、私の見方が浅はかなだけだと気付いた。戦後二年経過し、
ドラマは、「外圧」で流入した“権利”とか“自由”の思想も、ようやく一般化。それと共に、
戦争との関わり方や記憶も、人々の中で次第に複雑に屈折していった。そんな中、
家族制度の根幹である家長(一家の父親)の権威も内面から次第に崩れていく。そういう
戦前と戦後の屈折点として、この物語は、戦後二年という時期を捉えているのだと思う。

他のヒロイン物語では、そういう微妙な時期に、どういう内容を語っていたのか?調べた。
「カーネーション」は、余り真面目に見ていなかったが、この物語の中でも最も好きな部分が、
昭和22年頃に相当している様だ。奈津(栗山千明)が、戦争で全てを失って路頭に迷って
いる時、髪結屋の玉枝(濱田マリ)が助ける下りである。玉枝は、かけがえの無い息子達
を戦争で失い、時代も代わって髪結の商売の見通しもなく、生きる意欲を失くしていた。
一人で歩く事もままならぬまで衰弱していた玉枝が、奈津の惨状を聴き、同病相哀れむ!
力を振り絞って奈津を助けに行く。そして奈津を助けた玉枝も元気になっていく。玉枝を
陰で懸命に支えていた嫁の八重子(田丸麻紀)も最愛の夫を亡くしてどんなに辛かったか?
糸子(尾野真千子)制作の制服と共に生れ変った「安岡美容室」で、3人再出発した。

「おひさま」の昭和22年頃は、陽子(井上真央)の長女・日向子が生れた頃だと思う。
私は、ドラマで、その頃の価値観の変化を主観的に表現する場面について記憶に乏しい。
「おひさま」物語は、戦前と戦後とに表面的な価値観の変動は有っても本質的価値観の
変動は無いということを、全編を通じて主張したいのだと、私は思う。ただそんな中で、
子爵だった母方の祖父の死と、祖母(渡辺美佐子)による遺産寄付の新聞記事の話題、
そして祖母の丸庵訪問(陽子の出産祝)のエピソードがあった。昭和22年の日本国憲法
施行と共に廃止された華族制度の事が淡々と語られたが、これも「おひさま」の主張。
「ゲゲゲ」の布美枝の生き方も、時流に流されない生き方だったと思う。だからドラマも
10才の昭和17年(1942)から21才(松下奈緒)の昭和28年(1953)にすっ飛ばした。
従って、昭和22年頃の物語は無い。

この様に、4ヒロインの生き方、価値観に対する感じ方・描き方を比較分析すると、
「おひさま」と「ゲゲゲの女房」、「カーネーション」と「梅ちゃん先生」が、それぞれ類似
している様に思える。時流に敏感か?鈍感か?「長所短所は裏返し!」如何なものか
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