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「純と愛」第2週の感想 [物語]

今週のメインイベントは、亡き妻への供養の宿泊者・北見(平泉成)への対応だった。
北見は、純(夏菜)の初仕事の客であり、純が一生懸命に対応した事に感謝して帰った。
しかし、その間、様々な事件があり、一時は、年間約1億円の損失も予想され、純は、
責任をとって辞表の提出まで行った。退職届は社長・大先真一郎(舘ひろし)が
握り潰してくれたものの、純は、周りの人間から浮いてしまった。

そんな中で、コンシェルジュの水野安和(城田優)だけは、純に優しかった。水野は
純が食事の約束をすっぽかしても、再度誘い、水野と同級生だった愛(風間俊介)も
含めて三人で食事に行った。純は水野の優しさにほだされて、好感を持っていた。
些細な事で、仲間とホテル内で言い争いになり、先輩・桐野(吉田羊)から厳しく
説教され、その上ホール正面の階段で、仕返しにきた粕谷(近藤芳正)に殴られる。
宿泊部長の米田政国(矢島健一)にまたも叱責された。「泣きっ面に蜂」である。
水野はイケメンであるだけでなく、四面楚歌の純にとって、頼りがいのある先輩?
ヒロインとイケメンの二人なのだから、普通は旨く行くはずである。

純は仕事や仕事仲間の問題だけではなく、宮古島の家族問題(弟・剛(渡部秀)の家出)等
八方塞であり、そんな時に水野から飲みに誘われ二つ返事で承諾した。しかしその前に
愛が、水野の魂胆は「Hをすること」だと注意する。純は気を悪くしてしまった。
しかし酔っ払った純に水野が迫ってきた瞬間、愛の言葉を思い出した純は
水野を突き飛ばしてしまっていた。この一件で、水野との関係は×?

直後、母・晴海(森下愛子)からの電話で、兄・正(速水もこみち)の女性問題も浮上!
どん底の純を救ったのは、豚まん? そして純は、その直後に現れた愛の背中に縋って、
「こうしてると、すごく落着くのはなぜ?」と、自問自答していた。
やはりこの物語は、題名の示す如く、ヒロインの相手は、水野ではなく愛の様だ。

第二週目までを終えて、物語の大体の骨格が見えてきたような気がする。
経営が行き詰っているおじいの“サザンホテル”だけでなく、立派な外観を備えた
OPホテルもまた、様々な問題を内蔵している。そして純や愛の家庭問題も、また
現代社会の縮図なのだ。純は、それに快刀乱麻を断つが如く、立ち向かおうとし、
愛は今迄、顔を背けてきた。引かれ合う「純と愛」は、お互いに向き合う事により
相手の良さを引出すと共に、己の生き方を見つける物語ではないか?如何なものか

「純と愛」第10・11回の見所 [物語]

“見所”というのは、‘見るだけの値打ちがある所’という様な意味で使われる。
価値観多様化の今日、人によって見所も違うのが当然?その積りで読んで貰いたい。
第10回の見所は純(夏菜)が、愛(風間俊介)の忠告に従い、社長になったつもりで
横暴な客・粕谷(かす<不用物>な奴:近藤芳正)と交渉。トイレ立てこもりによって
意志貫徹した場面であった。遂に客は部屋を出て行ったが、年間1億という収入は
断たれる事になり、宿泊部長の米田政国(矢島健一)は、烈火のごとくに怒った。
この見所は、純がブレて、「魔法のホテル」の夢を捨て去ろうとした時に、社長に
なったつもりで考えるという発想の転換である。自分が社長なら年間1億の損害より
粕谷を追い出すメリットの方が大きいという判断、決断である。

もう1つの見所は、第11回の冒頭。粕谷は、自分の地位を笠に着ていろんな所から袖の
下を貰う不届き者とわかり、懲戒免職になるという。実にカスなヤつだったのである。
勿論、年間1億にのぼるホテル利用に関する会社契約は、今後も継続する事になった。
この情報は宿泊中の粕谷をOPホテルから追い出した翌日、OPホテルの社長・大先真一郎
(舘ひろし)が、粕谷の会社・なにわ製薬の社長とゴルフしながら得たものだという。
しかし余りにも好都合ではないか?昨日の今日、社長同士で簡単に決着できるか?

私は、粕谷の問題は、既に前から気づいていて、その対策を練った結果をゴルフ外交で
旨く決着させたと見るべきだと考える。
私は、粕谷はOPホテルから多額のリベートを要求していたと推定する。そして拒否され
それなら多額なリベートを貰える新しいホテルとの契約変更を考えたのではないか?
粕谷があんな嫌がらせをしたのは、ホテル側の落度を理由に、契約解除したいが為?

大先真一郎は、自分の職場であるOPホテルで、グラマーな美女と密会?
今日も、粕谷の騒ぎを収めた直後、純が、後を追ってお礼を言おうとした目前で
グラマー美女(永津真奈)とエレベーターの中に消えた。私の推定では、
これらの美女軍団は、銀座や六本木などの高級クラブホステス?しかし真一郎は
彼女達と色事で会っているのではないと思う。真一郎は、彼女達に、昔で言えば
“くノ一(女忍者)”的な役割をお願いして、情報収集し、分析しているのでは?
粕谷の問題は、そういう美女軍団の情報収集・分析から明らかになり、相手会社の
社長と直談判で決着したのでは?これはホンの序の口であり、OPホテルにはもっと
大きな問題が潜んでいる?その為に真一郎は自らのイケメンを武器に、美女軍団を
旨く使っているのだと思う。考えすぎ?でもこの方が面白い? 如何なものか

「純と愛」第2週前半の感想 [物語]

純(夏菜)たちは、OPホテルでの研修を終えて、現場に出た。純はベルガール、
同期の田辺千香(黒木華)は、フロント担当になった。
今週前半のメインイベントは、宿泊客・北見(平泉成)の隣室騒動であった。

そもそもの発端は、純が、案内した最初のお客さんが、北見であったことである。
“隣の客がうるさい”という北見からのクレームは、最初は千香が担当して対応した。
しかし客が言う事を聴かず、上司(コンシェルジュの水野安和(城田優))に、
悪く思われたくないという配慮から、純に何とかして欲しいと依頼されたのである。

そこで純は、北見という自分にとっての最初のお客様(生涯に唯一人)という思込みも
あって、「魔法のホテル」に向けて、どんな対応をしたのだろうか?
まずは単身で乗り込んで、客・粕谷(近藤芳正:階段で純のお尻を触った)と交渉。
「ワインを飲めば騒ぐのを止める」と言われるも、断った為に交渉不成立。
第二に、宿泊部長・米田政国(矢島健一)に相談するも、年間・1億の売上を楯に
断られ、北見の部屋を替えるという案で交渉するように言われた。
北見に部屋の交換を申出るが理由もいわず断られてしまう。そこで再度、粕谷と交渉。
怒った粕谷は暴力で襲い掛かり、仕事を厨房から電気工事に変わった愛(風間俊介)に
「電球交換」という理由で機先を逸らし、危機一髪で純を救出した。
第三に、純は北見の断る理由を知るために、北見の観相を、愛に依頼する。愛は、
北見を長く見ていると頭が痛くなるのを押して、北見の心は悲しみで塞がれている事、
以前に女の人と泊ったことがある事、などを純に教えた。純は旧い宿泊名簿を調べて
北見の閉ざしている心を開き、1005号室に拘る理由を遂に聴き出したのである。

一人のお客にここまで拘る必要があるのか?はっきり言ってそんな気がする。
「皆忙しいんや!心掛けが悪くて不幸な老後を送る人を、一々かまってられるか?」
そんな気もする。純も、それでなくとも忙しいし、弟は家出して舞い込んでくるし
他人の心配などして居れないはず?それでも何でそこまでするのだろうか?

北見は、純にとって最初のお客・生涯に唯一人のお客さん、そういう因縁だから
そこまでやるのだろう、と最初は思った。しかし考えてみれば、「一期一会」の
精神でいえば、目の前のお客さんが、常に生涯唯一人のお客さんではなかろうか?
自分の都合で蔑ろにしない純の精神は「一期一会」の精神では?如何なものか

「みをつくし料理帖」と待田愛の観相 [物語]

昨日のブログで「純と愛」の待田愛(風間俊介)が、人相からその人の隠された側面を
透視する超能力の話を書いた。その事は、人相占いに通じるものがあるのではないか?と
考え、ふと、先日見た長時間スペシャルドラマ「みをつくし料理帖」の事を思い出した。
ドラマ「みをつくし料理帖」は数奇な運命に翻弄されながらも、艱難辛苦に打ち勝って、
立派に成功した料理人・澪(みを)を主人公にした物語である。
澪(北川景子、子役・小林星蘭)と野江(貫地谷しほり、子役・谷花音)は、幼友達。
幼少の頃、高名な易者・水原東西(六平直政)は、野江の顔を見てその人相に驚いた。
野江は、太閤殿下にも勝る天下取りの相として「旭日昇天」、そして澪は、艱難辛苦が
降り注ぐが、それに耐えて精進すれば、必ずや良い事があるとし「雲外蒼天」と断じた。

その後、澪は、享和二年(1802)梅雨時の大雨による洪水で、両親を亡くし天涯孤独。
野江の消息はなかった。澪は、大阪一の料亭「天満一兆庵」夫婦(嘉兵衛:笹野高史、
芳:原田美枝子)に拾われて、12才で既に一人前の料理人になるも、「天満一兆庵」は
火災で焼失。息子を頼って嘉兵衛、芳、澪は江戸にでたが、そこも数々の艱難が待って
いた。そんな中で、吉原・松の位の花魁・旭太夫になっていた野江に助けられる。
ラストシーンは、旭太夫に借金を返済できるようになった澪が、満開の桜の土手で、
何処までも青く澄み切った蒼天を見上げるところだった?易者・水原東西が言った
「苦労に耐えて精進を重ねれば、必ずや真っ青な空を望む事ができるやろ。
 他の誰にも拝む事のできぬ綺麗な空をなあ~!」という言葉通りだった。

ドラマ「みをつくし料理帖」の易者・水原東西は、澪と野江の運命を見事に占った事に
なるのではなかろうか?10才になるやならずで大洪水に遭い、酷い目に合った澪と野江、
易者が占った時点では、その暗い影が見えたかもしれない。しかしそれだけではなく、
その先まで見通したからこそ、前向きな「相」を断じたのだと思う。
占いというのは、悪い運命で悲観するのではなく、悪い運命でも、それを乗越えられる
方法論を提示して、占われた人を元気付け、前向きにしてあげるものだと思う。

翻って待田愛は、「強そうな人がおびえていたり、優しそうな人が冷たい顔をしている」
から、即ち、裏表があるから顔を背けて歩いているという。何か変ではないか?人間に
裏表があることなんて常識、無い方がよっぽど異常ではないか?純粋さや正義を夢見て
スリの婆さんの本性を暴き、純の財布を取り戻したのはお手柄だが、世の中の実態に
背を向けて、現実を見ないのは、胆力が欠如しているからだと思う。
“幽霊の正体見たり枯れ尾花”という川柳?があるが、待田愛は人の顔に、枯れ尾花
ではなく、幽霊をみているのではないか? 如何なものか

「純と愛」 第1週の感想 [物語]

今日はOPホテルの上司・米田政国(矢島健一)、露木敏哉(や乃えいじ)、桐野富士子
(吉田羊)らに説教され、純(夏菜)が切れ掛かった昨日ラスト再現から始まった。
純が切れ掛かった瞬間、厨房の下働き(実は待田愛(風間俊介))が皿を取り落として
割れる音がし、上司も純も気勢をそがれた一瞬を捉えて、桐野がその場をとりなした。
しかしその後の桐野や田辺千香(黒木華)への純の言動が幼いというか、一途というか、
頑固というか?おじいは、幼い純に「ずっとそのままで良い」と言い、直近では愛が、
「ずっとそのままでいてください」と言ったが、果たして、この儘で良いのだろうか?

純は、米田が「お客さんが喜ぶ事がどうでもいい」と言った事について、桐野の意見を
求めたが、桐野の「私達は上司を選べない」という返事に納得できなかった?私なら、
この返事が、純の意見に間接的に賛成である事や優しい心遣いを感じられる。然るに
純は桐野に、「何の為にホテルで働いてるんですか?」と、重ねて問い質した。
接客指導担当の先輩に対して、何と心ない事をいうのだろうか?この失礼な質問に桐野は
“そんな幼稚な事をいう閑があれば、キチンと自分の欠点を見つめなおせ!”、
“自分をいつも正しいと思っている人間は、成長を止めたというのと同じ!”と、
きつい事をいった。売り言葉に買い言葉、目には目を、歯には歯を!ということか?
なおも気が治まらない純は、何と、同期入社の田辺千香にまで、
「何の為にホテルで働いてるのか?」と迫り、千香から手痛い反撃を食らった。

此処まで来ると病膏盲(やまいこうもう)、父・善行(武田鉄矢)と何ら変る処なし!
何かに夢中になる(囚われる)と、周りの状況が見えなくなり、猪突猛進となる。
実家の宮古島では、弟・剛(渡部秀)も親父と衝突して家出すると言っていた。

純のお客様に対する‘もてなしの心’は素晴らしい。しかし単にお客様だけに、
和み、親しみ、助合い、思いやりの「和の心」でもてなすというのは片手落ちでは?
職場の上司、先輩、同僚、後輩や、家族に対しても「和の心」で接する心掛けが大切?
最後に、ヒロインの相手役・待田愛(風間俊介)の超能力だが、今日の純との対話での
説明によれば、彼の能力は、人の悪い面ばかりが見えるようだ。即ち、いい面は
見えないのではないか?もし、いい面が見えるならば、いい面を探せばいいから
何も、顔を伏せて歩く必要はないのではないか?それとも、現代日本の人々には
いい面というのが、殆ど無いという事なのか?兎も角、悪い面ばかりを強調せず、
いい面を探し出す「和の心」の働きが、大切だと思うが、 如何なものか

朝ドラ「梅ちゃん先生」から「純と愛」へ [物語]

朝ドラ(NHK連続テレビ小説)も切替って5日が過ぎた。
初回視聴率は、「梅ちゃん先生」を上回ったと言うが、要因は何か?
僅かな差だから、誤差範囲なのか?私には分からないが“世は太平”という事か?
題名から受ける先入観では、余り良い印象を抱かなかったが、今の所、見ている。
今迄の話の展開からは、従来の通俗的な「成功物語」のパターンだと思うのだが、
私の知っているこの種の物語は、随分古いから、焼き直しでも、今の人たちには
結構、受けるのかも知れない。

日本人は、若い時には多少羽目を外しても、大人になると、規則やルールに準ずる
「和」の精神を最優先するという事になっている。聖徳太子の十七条憲法以来の
伝統?そういう伝統の中で、ヒロイン・狩野純(夏菜)は、おじい・真栄田弘治(平良進)の
ホテルのような魔法のホテル実現に向けて奮闘し、父・善行(武田鉄矢)や就職先の
オオサキプラザホテル(以後、OPホテルと略す)の上司や先輩と衝突する。

純が志向する「お客さんが笑顔で帰る魔法のホテル」の為に、掟破りをする純が悪い?
のか、規則やルールを厳格に守ろうとするOPホテルの上司(米田政国(矢島健一)、
露木敏哉(や乃えいじ)、桐野富士子(吉田羊))等が間違っているのか?
私の見解は、“「和」の精神”という事に関する理解の仕方の問題だと思っている。

従来の聖徳太子の「和をもって尊しとなす」は、“秩序や平和を乱す個性や自由は
許されない”と解釈された。しかし民主主義の精神を取入れ、個性や自由を尊重する
現代では、もう少しマシな解釈が、成されるべきではなかろうか?
「和」とは、親しさ、穏やかさ、助合い、思いやりの心である。従って和を尊ぶとは
和の心がけで人間関係を大切にし、仕事に励む事によって、智慧が生まれ、道徳心も
訓育され、成果も上がる事を期待しているのである。

本来、規則やルールも、和を尊ぶ為の仕掛けであり、従業員の争いのタネにする為の
ものではない。純の心は、もてなしの心、即ち、「和の心」で満たされている。
確かに純の行動には、独り善がりで、根回しがない等の欠点はあるが、秩序や平和を
乱すという様なおおそれた企みのある人間でなく単純な人物?純の‘純な’素晴らしい
「和の精神」を、規則やルールで縛るのは、企業にとって勿体ないのではないか?
大切な創造性や、道徳心の芽を摘み取る事になるのではなかろうか?如何なものか

梅ちゃん先生・余話 [物語]

「梅ちゃん先生」が終り、また次の朝ドラが何事もなかったかの様に始まった。朝ドラも
単なるTVドラマの一つに過ぎないのだが、半年も見ていると別れが切なくなる。そこで
「梅ちゃん先生」物語を惜しみ、書き足りなかった私の思いを書いておこうと思う。
先ず、山倉(満島真之介)と松岡(高橋光臣)の比較検討から始めよう。山倉は帝都大卒
生え抜きの医者として頑張っていた。一方松岡は中央医大卒。帝都大学病院勤務は、師と
尊敬する下村教授(高橋克実)を慕っての事だった。学閥という閉鎖的な伝統は現代にも
存続?敗戦後価値観が一変したと言っても当時も学閥の伝統は色濃く残っていたと思う。
そんな中、松岡が助教授になり、山倉は弥生(徳永えり)に振られ落込む幕切れだった。
弥生は松岡の後に続き、研究一筋の道を歩む決意だと松岡に語ったという。時代は女性に
追風?だから山倉は、うかうかしていると弥生にも追い抜かれるかもしれない。
梅子(堀北真希)との電話で松岡は山倉の事を、「失恋の痛手等、一時の事。これからの
研究で成果を上げる事が大切だ」と言っていた。

大学という所は研究一筋でないと勤まらないだろう。山倉は、終生大学勤務というタイプ
ではない?彼は学生時代の戦後間なしに、松子(ミムラ)に結婚を申込み、見事断られ、
「では、梅子さんで」と言ってヒンシュクをかった。この例が、松岡との助教授の席を
争って敗れた山倉に何が不足しているか?を良くあらわしていると思う。頭もよく、
才能もあるのだろうが、山倉には、研究に打ち込む高い目標や信念がないのだと思う。
そういう生き様だから、開業医も悪くないと考え、弥生の婿として開業医になっても良い
という方向に流れているのだろう。従って山倉には、松岡との競争に敗れた悔しさより
弥生の父親の引退が延期され、弥生に振られた事の方がショックだったと思う。

自分自身で大きな夢や希望が持てる人には、それなりの理由があるのだと思う。
松岡は、学生時代に当時は死病といわれた結核を患って大変苦しんだ。その苦しみが
人々の命を救う研究一筋の医者を志す原動力になっている。建造も大学教授・内科部長に
までなった成功者だが彼には幼い頃の厳しい育成環境の中、養子にもらわれて育ったと
いう辛い経験がある。「艱難汝を珠にす」という諺がある。建造は負の育成環境を前向き
に捉え、親元での見通しのない貧乏暮らしの中でも勉学に励み先生の注目を浴びた。
そして勉学させてやりたいという養父母にもらわれたが、実父母と異なり苦労も多かった
だろうと予想されるが、立派な医者になる志を立て頑張ったのだ。

弟の陽造(鶴見辰吾)は、実家に残ったが、兄・建造と比較して自分の負の環境を、
後向きに捉え、不平不満の中で生きてきた。能力などは兄に引けをとらないだろうが
生きる姿勢の差が、人生の結果として大きな差を生み出したといえるのではないか?
陽造の不幸は、本来比較の対象にすべきでない建造が、身近な人だったことである。

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梅ちゃん_最終週・弥生と山倉 [物語]

弥生(徳永えり)と山倉(満島真之介)との物語は、山倉にとって実に惨めな結末だった?
山倉の登場は第2週目、弥生は第3週目からだから、二人共、昭和20年からの出演者だ。
しかしこの二人の芝居は、そう多くない。梅子(堀北真希)と弥生がインターンを卒業し
医者として勤務し出した第11週(昭和27年頃)から、松岡と梅子の関係を見守る役柄
として弥生・山倉コンビが絡んできたが、そう重要な意味を感じなかった。

「梅ちゃん先生」を振り返ると、梅子と松岡(高橋光臣)との話が随分長かった。
昭和22年の出会いとすれ違いと別れ、そしてインターンになった昭和26年の再会、
さらに、いろいろあって昭和30年、松岡の米国留学でやっと決着がついた。ドラマで
いえば、第6週から第16週までであり、松岡は梅子のパートナーと思い込んでいた。
私の様な視聴者は、梅子と松岡の物語に振り回されてしまった。梅子が松岡と別れて
一年も経たない内に、信郎(松坂桃李)と結婚しようとは!ドラマで言えば第16週で
松岡と別れて、第19週で梅子・信郎の結婚式!何だ?という感じ?

後から考えると、信郎の恋人役・咲江(佐津川愛美)や、ショッキングな死に方をした
坂田先生(世良公則)も、梅子・信郎の結婚の為の当て馬、狂言回しだったともいえる。
兎も角、様々な人々の出入りが激しい「梅ちゃん先生」では、弥生・山倉コンビの話が
なかなかメインにならなかったが、最近、やっと機が熟してきたのかな?
と期待して見ていたが、残念な結果に終わってしまった。

山倉を演じた満島真之介は「おひさま」で好演した満島ひかりの弟だというので、応援
していたが、役柄のせいか?いまいちパッとしなかった。が、此処へきて盛上がった。
弥生は、父親(内科開業医)の引退で家業を継ぐ為に大学を辞めなければならないが、
梅子提案の「内科医と結婚して夫に家業を継いでもらう」という案を採用。結婚相手を
物色し始めた。目の前の山倉を何故考えない?山倉もだいぶ前から弥生に好意を持って
いる素振りがアリアリなのに、私など理解できないが、その辺がこのドラマの真骨頂?
祭りの晩に、梅子に救護所を手伝う様に言われた山倉が手持ち無沙汰にしている時、
同じく梅子に誘われて、弥生がやってきた。弥生と山倉を一緒に祭りに行かせる梅子の
策略だった。昔(第2週)、松子に結婚を申込んで断られ「じゃあ梅子さんを下さい」
と、勢いのあった当時の事を山倉に思い出させ、発破をかける梅子だった。
お参りの帰路、神社石段下の縁台で、山倉が弥生に「結婚相手探し」の状況を聞く。
弥生は「そう簡単には行かない」、そして「全く予想もしない所からヒョッコリ現れる
気もする」という発言をしたが、山倉はどちらにも「そうだね」と気のない返事。
弥生から「いいかげん!」となじられた。

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梅ちゃん先生_最終週・梅子と広志 [物語]

「梅ちゃん先生」も最終週(第26週)になった。兎も角、梅子(堀北真希)と広志
(池松壮亮・少年時代;細田龍之介)との出会いは古い。終戦直後(昭和20年)
戦災孤児のヒロシ(細田龍之介)は盗みをして生活していた。そんなヒロシと縁ができた
梅子が或る時、食中毒で瀕死のヒロシを見つけ、建造(高橋克実)による懸命の治療と
梅子の看護によってヒロシを助けた。この体験が、梅子の医者志望の原体験となった。
ヒロシにも転機となる体験だったが、梅子にとっても人生を左右する貴重な体験だった。

第25週、広志(池松壮亮)が突然、安岡医院を訪ねてきて二人の再会は果された。
広志は小さいながら製薬会社の営業マンとして立派に成長していたが、梅子が紹介した
かつての勤務先・帝都大病院で色々な軋轢を生んだ。また新しくできた大病院のことで
梅子の医院を心配して大病院への就職を斡旋するが、それも梅子に断られてしまった。

広志は、建造や梅子に助けられた直後におじの家に引取られたが、その当時から家業の
材木運び等の重労働を強いられ、中学卒業後は夜学で大学まで卒業して、就職したのだ。
安岡製作所に集団就職した光男(野村周平)も厳しい人生と言えるが、光男には故郷には
暖かい家庭がある。なかなか立派な爺さんの教育も受けて、職場の人々の温かな支援で
夜学にも行っている。広志に比べたら、光男はどんなに幸せかが分かるだろう。

広志は、一人でも多くの患者の命を救いたいという思いで、懸命に働きすぎて、梅子の
医院に薬を届けに来た時に過労で倒れてしまった。その時に、朦朧とした意識の中で、
食中毒で苦しんでいる最中の事を思い出して、突然、「嘘だ!」と叫んだ。食中毒で
苦しんでいる最中「生きていても仕方ない」と言うヒロシに梅子は、「生きていれば
キッと良い事がある。頑張って生きていると神様からのご褒美がある」と言ったのだ。
ヒロシは、その言葉を信じ自分の助かった命を活かす「患者の命を救う」という使命感
に燃えて頑張ってきた。その経緯を考えると広志が安岡医院を訪問した再会の時点で、
既に、自分の行き詰まりを潜在的に感じて、下村家に近づいたのではなかろうか?

梅子は、広志への自分の対応を反省した。そしてその答えは?以前に約束したと言う
母・芳子(南果歩)手作りの“おはぎ”だった。広志が眠っている間に、両親を千葉から
わざわざ呼寄せて、回復した広志に食べさしたのだ。広志に必要なのは、家族のような
人の温もりなのだ。広志は、芳子や建造とも再会を果たして、大きな温もりを得たのだ。
<蛇足>今日朝方は限りない蒼天だったが、午後の散歩の時には雲が出た。田は黄金の波、
そこ此処に秋の花が咲き乱れ、日陰の風はことのほか心地よく感じた。如何なものか

梅ちゃん先生_第24週の感想 [物語]

今週は、安岡製作所に、新幹線部品の注文が舞い込んでくると言う話から始まった。
時節は、昭和33年(1958)11月以降である。その頃、在来線電車特急・こだま登場。
梅ちゃん先生・第24週のテーマは、「明日へのバトン」。このテーマを考えると、
新幹線部品の受注は、信郎(松坂桃李)の成長を暗示していたのではなかろうか?
幸吉(片岡鶴太郎)には、残念ながら「明日へのバトン」を信郎に託すといった乙な
芝居は似合わないから、部品発注元の社長が、信郎を信任する形を採ったのだろう。

松岡(高橋光臣)の留学からの帰国と、帰国報告講演は、松岡が建造(高橋克実)の
バトンの受け手として成長したことを表現するものだった。千恵子(宮武美桜)の
進路問題と、梅子(堀北真希)、相沢(銀粉蝶)の活躍は、相沢がバトンの託し手だ。
千恵子の成長に伴って、父母の和也(滝藤賢一)と康子(岩崎ひろみ)も成長して、
娘の夢を自分達の夢として、娘に託したのだった。

光男(野村周平)の夜学の話は、建造(高橋克実)が言い出したことであったが、
安岡製作所の幸吉、信郎、木下(竹財輝之助)が揃って嫌学の精神のため頓挫した。
だが信郎は、建造の気持を理解した梅子が、光男に語った建造の思いを心で受止め、
建造の言葉「人から人へと受け渡していく事の必要性」を理解した。信郎は、
光男の進学辞退を職場環境にある事を承知の上で、皆の前で光男に夜学の入学願書を
渡して記入するように言った。現在や光男自身の必要性からではなく、安岡製作所が
発展した時の準備の為に、夜学進学を業務として命令したのである。信郎は体系的な
学問には無学でも、素晴らしい感性をもち、梅子を妻に迎え太郎を授かり、精神的に
大きく成長した。環境から大切な事を学び実生活に活用していく見所も根性もある
人間だと思う。信郎は建造のバトンを、しっかり中継ぎして光男に託したのである。

今週の最終回は太郎の一才の誕生祝と、建造の退職祝の宴会があった。その時、
昨日のブログの最後に書いた「建造の決断」が発表された。それはまだ引退したく
ない気持があり、千葉の病院からの誘いで、病院長になるというものである。
「死ぬまで医者でいるべき」だと思ったらしい。また、建造が近くに居なくなる事に
不安を感じた梅子に対して、建造は「大丈夫だ!・・中略・・梅子!一人前になったな!」
と免許皆伝を言渡したのだった。梅子もまた、バトンを託された。バトンを託された
のは、松岡、梅子、そして千葉へ出発の時に後事を託された信郎。如何なものか

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