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火の発見と原発 [閑話]

朝日新聞に、福島原発事故を検証する目的で「プロメテウスの罠」と題する連載記事が
掲載されている。ギリシャ神話では、プロメテウスが人類に「火」を与えたとされる。
従ってこの連載は、原発を「火」の延長上と捉えているのであろう。しかしこの見方は
余りに迂遠?「火」は‘燃焼反応’だから、原発でそれに相当するのは‘核分裂反応’?
福島原発事故は‘核分裂反応’そのものの問題でない事は、「火」を見るよりも明らか?
生齧りの西欧文明を持ち出し知ったかぶりする記事内容は、民衆を惑わす元ではないか?

福島原発事故の問題は設備開発・設計、廃棄物処理等を含む設備保守の問題ではないか?
そういう視点から考えた時に、2009-12-13のブログ「非合理と不合理」で取上げた荘子の
“「つるべ」という仕掛けを使わずに厳しい労働をするお百姓の話”を思い出した。
西欧は、この話に出てくるお百姓の生き方、或いは朝顔につるべとられてもらい水をした
加賀の千代女等とは違う生き方を選び取ったのである。そして、日本のみならず、偉大な
お百姓さんや荘子を先祖に持つ中国さえ、西欧の軍門に下った。
軍門に下っても自分達の生き方に自信と誇りを持っているならまだしも、敵の思想に被れ
奴隷となり、彼らの技術や考え方を崇拝している輩が、小手先の批判をして何になる?

放射能汚染データの公開が遅いだの、官公庁の「愚民感」だの、被曝の影響だの、文句を
言う相手がいて、天災を人災にすり替えできる結構なことだった。確かに原発関係者や、
当時の首相を始め、政府・政権政党の体たらく振りには呆れるばかりであるが、それらの
問題は、プロメテウスとは無関係だろう。約2300年以上前の文明国・中国に、孔子に説教
した偉い老漁夫がいたという荘子の話もある。孔子は当時、69歳で円熟の境地だった?
老漁夫曰く「孔子は人生の根源的真理に背いて、遥かに外れてしまった」。それに孔子は
「人生の根源的真理を教えて欲しい」と指導を依頼した。それに対する老漁夫の答えは
「人間が心すべき八つの欠点と、物事を行う時に陥りやすい四つの欠陥を捨てたら教える」
であった。それを聴いて、孔子は、思わず顔を赤らめて、大きく溜息をついたという。
その後、重ねて孔子は質問するが、その答えも論語の言葉を引いて見当違いと諌められる。

八つの欠点とは、1)でしゃばり、2)お節介、3)おべっか、4)おもねり(良し悪しなく
喋ること)、5)ねたみ、6)害(そこない:親友を離間させる)、7)邪心(悪を善と偽り
堕落させる)、8)陰険(両方に良い顔をして両天秤にかけ、意向をずるく盗み取る)。
四つの欠陥とは、1)身の程知らずの功名心、2)悪智恵で相手を侵害し自分の利益を図る
強欲、3)過ちを認めぬへそ曲がり、4)自分の意見と合わないと悪いと貶す思い上がり。

 

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荘子の話に出てくるお百姓や老漁夫の八つの欠点と四つの欠陥を悪とする生き方は、加賀の
千代女の例でもわかる通り、人間の歴史上でもつい最近まで継続されていたと言って良い。
日本では明治維新後、発展途上国では、第二次世界大戦後に、この真実の生き方は失われて
いった。科学技術によって資源開発と真に実用的な機械化が、可能になったと勘違いした
ために、社会福祉を錦の御旗にして、八つの欠点と四つの欠陥を「悪」とする生き方よりも
金儲けを優先しだした。そして、科学技術の物神化、八つの欠点と四つの欠陥の軽視、及び
金儲け、という三乗効果によって、現代の原子力発電と、その事故は起こっている。

科学進歩?で、より多くの人々が長生きし、文化的暮らしができ、事故被害・自殺は増加
しても、災害の被害、昔のような惨めな死に方は、統計的には少なくなったのでは?
しかし数は少ないとはいえ、家庭内暴力その他、凶悪犯罪も増加して来ている。勿論、
米国やその他の諸外国と比較すれば、日本は天国の様な所かも知れないが、日本人の心は
満足しているのだろうか?西欧科学による物質的側面の真理を如何に知りえ、使い得ても
精神的真理を忘れては、人間の幸福は無いのではないか?

現代における原発問題でも、消費税増税問題でも、社会福祉という錦の御旗に隠れて
八つの欠点と四つの欠陥をもろ出しにして議論していたのでは、益々、人間の幸福とは
縁遠い社会になってしまうのではないか?
今、掲げられている錦の御旗の社会福祉は、物質的側面しか強調されていない。それは
物質的側面が充実すれば、精神的側面も充実するという原則を適用しているからだと思う。
しかし物質的側面は常に格差が付きまとい、格差を問題にしている限り、満足はない。
大切な事は、物質的底上げではなく、八つの欠点と四つの欠陥に象徴される様な、精神的
真実を弁えて生活する事を誇りとする人間として生きる事ではなかろうか?如何なものか
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