SSブログ

2009成人の日 [物語]

081124_tougen_ichioshi_img.jpg成人の日の今日“山で最期を迎えたい ある夫婦の桃源郷”と題したドキュメンタリーを見た。主人公は田中寅夫さん (93歳)、フサ子さん(88歳) 山口県中国山地の山奥で生きた物語だ。終戦で復員した寅夫さんは妻と一緒にふるさとに近い山を買い夫婦で切り開いた。
自給自足で3人の娘たちを産み育て親兄弟を呼び寄せ、貧しくとも賑やかな日々を送った。
昭和30年代半ば高度経済成長期に入った頃、娘たちの将来を考えて家族で大阪へ出た。

子供たちが自立した頃(寅夫64歳)夫婦の原点である思い出の山へと戻るのだった。
山の生活は電気も水道も電話も通っていない。山に戻るといっても生易しいことではない。
「自分らしく老いてゆきたい」という夫の思いとそれを支えた妻。冬には雪も積もる。
年金は二人合わせて月7万円という。即席ラーメンに魚のソーセイジを切って入れただけの食事を美味しそうに二人がすする場面がある。現在の冬の寒さをかこつ自分の境涯が如何に恵まれたものかと、わが身を振返って感謝に耐えない。

寅夫さん80歳の祝いのときには、娘たち家族の孫までに及ぶ盛大な集まりが催された。
その場で子供達からいつでも戻ってきて欲しいと頼まれる。夫婦は感謝しながらも山に戻る。
90歳に近づいてもなお山の暮らしにこだわり続ける両親。3人の娘たちもすでに孫のある年齢になり、親たちの生き方を受け入れ自分達がなるべく山で一緒に過ごそうと考えるようになった。
寅夫さんは病に倒れてもなお山に執念を燃やす。

90歳を過ぎてなお、天秤棒の両側に肥えたご(下肥を入れる桶)をつるしてその重さに耐えるだけでなくバランスを取って担いで歩く姿には、感動という以外に表現のしようがなかった。
物語は、寅夫さんが93歳で亡くなったところで終わる。最期にフサ子さんが、「おじ~さ~ん、おじ~さ~ん」と山に向かって亡き寅夫さんを呼ぶ声が、実に透き通る美しさだった。

淡々としたカメラワークで、ドキュメントらしいドキュメント、しかし涙・涙。魂が洗われる涙!
第4回(平成20年)日本放送文化大賞 テレビ部門 グランプリに輝いたという。
YTV(よみうりテレビ)1/25(日)16:30 ~、NTV(日本テレビ) 16:25~
再放送があるらしい。興味のある方は見られたら如何なものか。

nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:日記・雑感

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

冗談?本気?老いる ブログトップ

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。