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着眼大局、着手小局 [閑話]

月刊「Will」四月号に松田学著「『官僚亡国論』という亡国論」という記事が載っていた。
彼のブログによると「官僚のあり方論について正論を発信してほしいとの期待」が寄せられた
結果、この記事になったらしい。官僚に関する情報としては以下の様なものがあった。
1.OECDの29カ国における官僚経費などに関する日本との国際比較。
 a.一般政府支出の対GDP比は37%で、29カ国中、下から6番目の小さな政府
 b.一般政府生産費用の対GDP比は18%で、28カ国中、下から8番目で民間主体の経済
 c.総労働人口に占める一般政府雇用の割合は5%で26カ国中最低。公務員は最も少ない
 d.一般政府の雇用者報酬の対GDP比は6%で、28カ国中最低。最も安上りの公務員
 e.国家公務員は地方公務員を含む全体の16%で、21カ国中下から5番目。
2.中央・地方・その他公的部門職員(除く軍人)の人口千人当りの職員数比較(G5)
   仏=約82人、英=約72人、米=約71人、独=約54人、日本=約34人
以上の様なデータから著者は、メディアが経済産業省出身・古賀茂明等による公務員改革を
過大に取り上げている事、及び一般に蔓延している「小さい政府」論を批判していた。

また、天下りや渡り等の問題に関しても、官僚の生涯報酬や、年金の問題等を取上げて、
官僚たちが、退職後の心配の為にやっている事で、根本的対策を打たねばダメだと言う。
そして、もし官僚改革を本気で考えるなら日本の全体システムを新たに組み立てる改革が
必要になると結論付けている。
私は、この議論を読んで成る程と思う所もあったが、著者が古賀茂明を批判しているのと
同様の問題を抱えている事に気付いた。結局、対策は抽象論で、具体性が無いという事だ。
荀子の「着眼大局、着手小局」という言葉を思い出した。

現在、横行している大局観は、平成維新、全体システムの刷新という事で、理想像を描き
現状を破壊すれば、システムは刷新され、夢の様な素晴らしい国、郷土になるというのだ。
制度の設計図を如何に精巧に作成したとしても、中味の人間が如何なる生き方をするのか?
それを明確にしない限り、如何なる制度設計も絵に書いた餅に過ぎないだろう。制度設計の
夢は大局観ではありえない。物質文明の追求が大局では無い事が益々明らかになったにも
拘らず、先進国と比較して喜んでいる神経では、日本人が真に求めている大局を見失う。
西欧は最早、見習うべき相手ではなくなったはずだが、エリートといわれる高級官僚が、
自己の老後を心配して省益に奔走し、何時までも経済成長一点張りでは情けない。そして
橋下の国と地方の金の分捕り合戦を囃し立てるマスコミとその仲間のインテリもどうし様もない。
こんな輩が維新だ、全面刷新だ、と言っても未来に何の望みもなかろう。如何なものか
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