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相国寺'11.09 [閑話]

先日、臨済禅・相国寺派の大本山である相国寺(しょうこくじ)を訪問した。私の目的は、
相国寺や塔頭寺院の国宝・重要文化財など多数の名宝を展示・公開している承天閣美術館の
見学であった。美術館は通常も開いているが、相国寺は普段は拝観できない。
春季・秋季に特別拝観が許される。

当日、承天閣美術館は、特別展示として「ハンブルク浮世絵コレクション展」をやっていた。
その事は知っていたが、常設展示品が、ほとんど見られなかったのは、大変残念だった。
ただ、「ハンブルク浮世絵コレクション展」も、一見の価値はあり、閉館まで二時間しか
なかったが、ギリギリまで粘って、ほとんど、しっかり見学した。
1つだけ、禅寺に相応しい浮世絵「一休禅師」があった。杖の先にどくろを差して、見せて
回っている一休禅師が描かれていて「正月や 氷をありく くつの音」の句が添えてある。
「浮世絵コレクション展」については、また、何かの機会に感想をまとめたい。

お目当ての名宝の数々を拝観する事はできなかったが、鹿苑寺大書院 月夜芭蕉図と、
鹿苑寺大書院 葡萄小禽図だけは見ることができた。(以下URLを参照のこと。
http://www.shokoku-ji.jp/j_meihou_jaku_syouhekiga.html )伊藤若冲の作である。
若冲については、2010-12-16のブログ:伏見散歩'10.12月[散歩] や2011-01-05、06の
NHK連ドラ「フェイク」 [物語]で取り上げた事がある。
伊藤若冲は、相国寺の113世住持・梅荘顕常の指導を受けた禅者である。

特に、「月夜芭蕉図」は印象に残った。維摩経で、悟りを得ない人間のはかなさを例えて
「是の身は泡のごとし。・・・是の身は芭蕉のごとし」等と言うらしい。そんな理由からか?
芭蕉は庭忌草と呼ばれている。それを金閣寺の大書院・壁画のモチーフにするとは!
大胆な構図で描いた芭蕉は、月光を浴びて、静かに輝いて見える。若冲、信念の大傑作!
悟りを得られない、はかない人間と、お偉方は、下々の者を憐れむが、そうだろうか?
月光を浴びて輝く芭蕉のなんと美しいことよ!“悟り”などという事を弄ぶ暇もなく、
勤勉に働き、懸命に生きる庶民の姿は、仏の慈悲を受けて、そのまま、この芭蕉と同様に
輝いて見えるのではなかろうか? 如何なものか
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