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「おひさま」107回 [物語]

昨日・106回の最後、陽子(井上真央)は、和成(高良健吾)に相談した。
徳子(樋口可南子)の予想に反して、和成は陽子の話を、先生という職業への思い、
高橋先生(伊藤歩)との関係、これからの人生設計といった視点から整理していった。
和成は「陽子は、高橋先生を辞めさせる訳にはいかないと考えているのではないか?」と、
いきなり核心をついてくる。「しかし高橋先生の事を考えるのは止めなさい」と続ける。
「陽子が、憧れてなった先生を辞めたいと思わないのなら拒否すれば良い。」
「そうでない人生を選び取ることは、負けることとは違う。」 和成の的を射た助言に、
陽子は自分を混乱に陥れた原因を悟り、真に自分の選びたい道が見えてきたのだった。
戦力外通告を受けた野球やサッカーの選手と辞職勧告された陽子とは、雇用形態の違いは
あっても非常に似た側面を持っている。和成が「辞めたくないのなら拒否すれば良い。」
という助言は、辞職を真正面から受止めるためのもので、権利や妥当性の主張ではない。
辞職に対する陽子の正直な気持を引出すために用いたレトリックである。

和成の助言に耳を傾けていた陽子は、自分の素直な気持を語りだすのだった。
「太陽の陽子」と言って頑張ってきたが、自分はそんな大層な人間ではない事に気付いた。
最初の教え子・石井恵子(寺本純菜)からの手紙によって、教え子の卒業後もずっと自分は
教え子達の先生であり続けることに改めて気付かされた。これからもズッと先生を続ければ
ものすごい数の教え子になる。私にはムリ。陽子は自分の気持を和成に正直に話した。
昭和16年春~19年春まで受持ったクラスと、19年春~22年春まで受持つクラスの48人、
その子達の先生で居たい!自分の身の丈に合った生き方を選択する事にしたのである。

陽子が受持った2クラスは、新米先生時代ということ以外に、太平洋戦争の開戦と敗戦、
そして最も厳しい欠乏の終戦直後という時代と重なっている、という設定になっている。
陽子が、辞職後も2クラスの子ども達のやり甲斐ある先生として誇りを持って生きられる
のは、その様な特殊性を帯びている学級だったからだと、物語は主張したいのだろう。

社会と個人の相克や個人同士の葛藤では、建前や見栄が絡み問題が負の連鎖を生み易い。
従って、問題が丸く治まれば目出度し目出度し!でお開きになる。一般的、世間的には
正の連鎖を生み出す前向きな結果を期待することは少ないが、生きる姿勢としては大事!
陽子の辞職勧告問題を、大上段に、「社会的現実と個人的現実の相克」という視点から
取上げて、陽子の心境をたどり、前向きな結果を期待したが、何となくスッキリしない。
これで社会も個人も成長できるの?小さな幸せ、大きな不幸にならない?如何なものか
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