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「おひさま」に思う(2) [閑話]

福沢諭吉大々先生は「文明論の概略」において、日本人は西洋人より優位だと言っている。
その理由は、先生の同時代人は「一人で二つの人生を経る」或いは「一人で二人分生きる」
ことができるからだ、という。要は、江戸時代の近世文明と、維新後の近代文明を、同じ
一人の人間として体験できるから、素晴らしい智慧が生まれ、良い社会が創れるという事。
福沢先生のような天才的な創造力豊かな発想は、当時の急激に変化する時代に活かす事は
出来なかった。だから、残念ながら、日中戦争、第二次世界大戦の大悲劇を引起した。

そういった観点から「おひさま」の魅力とは何か?を考えてみた。それで診えてきたのは
「おひさま」は、第二次世界大戦の戦前と戦後を生きぬいた人々の同時代証言ということ。
「おひさま」の陽子(八木優希と井上真央)、真知子(マイコ)、育子(満島ひかり)、
良一(寺脇康文)、道夫(串田和美)、徳子(樋口可南子)などは、皆、戦前と戦後の
教育観、歴史観、価値観などが断絶した二つの時代を生き抜いた証人の生き様である。
今週のNHKステラというTV番組雑誌を見ると、今週水曜日(第75回)で終戦を迎える。
「おひさま」は、まさに、戦前と戦後を正確に二等分して語ろうというのである。

福沢諭吉大々先生が「文明論の概略」で教えてくれた「一人で二つの人生を経る」という
教えは、明治維新~第二次世界大戦の時代には活かす事ができなかった。そしてまた、
戦後も、その素晴らしい体験、同時代証言を、一方的な価値観でしか読み取れないという
貧しい世論であった様に思う。菅、鳩山に代表される民主党政権に移行したこと自体が、
貧しい世論を、如実にあらわしている。しかし、今からでもまだ遅くはない。
立体的な視野からの創造的な教育観、歴史観、価値観を形成するべきだと思う。
現代の経済主義に汚れきったマスコミなどの言論に惑わされていると、日本は危ない?

今日の「おひさま」では、茂樹(永山絢斗)の事務的な葉書による春樹(田中圭)の戦死の
知らせに涙も出なかった陽子。だが春樹の残して行った「心に太陽を持て」(山本有三)の
本をみて泣き崩れた。春樹が「心に太陽を持て」という詩を朗読した時を回想したからだ。
「心に太陽を持て」という詩の最後は
“苦しんでいる人、なやんでいる人には、こう、はげましてやろう。
勇気を失うな。くちびるに歌を持て。心に太陽を持て。”
春樹が詩を朗読した時は、兄妹三人が陽だまりの中、何の屈託もなかった。
本当の苦しみや悲しみ、逆境には、その人の心を奮い立たせるキッカケが必要なのだ。
太陽の陽子は、「心に太陽を持て」という詩を契機に立ち直るだろう。如何なものか
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