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北朝鮮:問題は総書記の権威? [閑話]

北朝鮮問題のアナリスト・重村智計が、月間雑誌「Will」の連載「朝鮮半島通信Vol.45」で
金正日総書記の長男・次男等の動向等から、北朝鮮軍の変質について警告していた。警告は
大雑把にいうと、重村氏が既に、以前から指摘していた「軍事独裁政治」と変わりはない。
しかし詳細に読むと、“韓国海軍哨戒艇の撃沈”や、“大延坪島への砲撃”に関するこれ迄の
解釈(金正恩氏の後継体制確立)とは、異なる見方ができそうである。

記事で問題とされた点は3点。
1.次男・正哲と妹が父親の誕生日をすっぽかしてシンガポールで追っかけをしていた?
 (儒教道徳の厳しい北朝鮮の常識からは考えられない。金正日の権威の失墜?)
2.東京新聞による単独インタビュ(1.28)で長男・正男は、“韓国海軍哨戒艇の撃沈”や
 “大延坪島への砲撃”を、「一部の軍人達によって行われた」と言ったという。
 この記事に関しては、【金正男氏 単独インタビュー詳報】という題名で、東京新聞の
 http://www.tokyo-np.co.jp/feature/Jong-nam/
 というTOKYO Webに掲載されている。(初報は1月28日朝刊に掲載)となっている。
 朝刊版とWeb版で内容が異なるのかも知れないが、重村氏の指摘した内容はなかった。
3.昨年の9月28日に改正された北朝鮮・労働党の党規約が韓国で明らかにされた。
 その内容で最も大きな変化は、朝鮮人民軍が、「党の軍隊」から「首領(故金日成)」に
 変わったことだという。中国や旧ソ連でも、社会主義国の軍隊は、「党の軍隊」だった?
 そして、「先軍政治」を基本政治方式として確認する内容が新たに盛り込まれた?

指摘した3つの問題点から、重村氏は、金正日総書記の権限が大きく失われたという。

「先軍政治」という思想は、本来、金正日総書記の権限を強化するために本人が言い出した事
ではなかったか?それを、党内規に明文化した事が何故、権限失墜になるのか?
全体として多少、こじ付けの処がある様に思う。記事に、いろいろと論理的矛盾がある様だが
“韓国海軍哨戒艇の撃沈”や“大延坪島への砲撃”に関する新しい解釈への努力は評価したい。
元々、金正恩氏の後継体制確立のためという解釈自体が曖昧で、一部朝鮮人民軍の暴走を
オブラートに包んだだけという見方も出来る。それで思い出すのは、日本帝国軍の暴走だ。
その軌跡をたどると、天皇の権威が無視されだしたことが、もっとも大きかったのでは?
天皇の権威の失墜は、帝国軍隊の度重なる命令違反が常習化したことであった。今回の問題
すなわち、“韓国海軍哨戒艇の撃沈”や“大延坪島への砲撃”の様な事件が常習化すれば、
総書記の権限や権力の問題ではなく、「権威」が失墜するのではなかろうか?如何なものか
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