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続「てっぱん」21週・父親 [物語]

さて、あかりの父親に関する悩みと周囲の人々のサポートについて、少し考えて見たいと思う。
あかり(瀧本美織)は、橘を最初は空巣として、次はCDを介して有名な音楽家として知り、
浜野(趙 珉和)や岩崎先生(柏原収史)の仲介で、個人レッスンを受け、親しい間柄となる。
あかりの橘に対する心理的距離は、劇的に縮まっていったのだ。そして、キーワード
“Lady Bird(てんとう虫)”から、橘を千春の好きだった人では?と疑いだす。

橘(小市慢太郎)に会いに来た錠(遠藤憲一)、真知子(安田成美)、隆円(尾美としのり)が、
あかりに見つかってしまい、あかりも橘が生みの親と知る処となった。何しに来たと詰問する
あかりに隆円は、「もう二度と会わんゆうたんは先方さん」、「もう一度会うてくれと頼んだんは
両親の方じゃ」、「わかってやってくれ!」というのに対して、あかりは「わからんよ!
そんなこと頼むために尾道からきたん?うちのお父ちゃんは目の前におる!」と叫んだ。

翌朝、岩崎先生から「ひまわり」の楽譜を受け取ったあかりは、会わずに帰京するという橘の伝言
を聞いて動揺し、浮かぬ顔になって、一人、店(お好み焼き)に出た。それを追って店に出た
のぞみ(京野ことみ)は、「あの人らしい洒落たプレゼントだね!」とあかりの気分転換を図る。
「そうですね。」という気のない返事に、「じゃあ、そんな顔してないで笑った方がいいよ!
あんなに皆に愛されているんじゃないの!」と発破をかけていた。前日から泊まっていた尾道組、
下宿人に近所の伝さん(竜雷太)まで勢ぞろいした“おのみっちゃんグループ”の面々は、
若きリーダの難局に、固唾を呑んで見守っていたのである。

前記の二つのエピソードは、私には、揺るぎない信頼で結ばれた“おのみっちゃんグループ”
(義理の仲とはいえ)の素晴らしさを、見事に表わしているように思えた。
前半のエピソードは、実の親娘でもなかなか言えない娘の苦しい胸の内を皆にぶちまけたもの
であり、後半のエピソードは、血が繋がっているとはいえ、希薄な人間関係の生みの父親を、
どう位置づけてよいのか?の迷いだと思う。生みの父親を知らないあかりと似ているのぞみは、
あかりより冷静に状況を観察できるから、もし橘が生みの父親だったら、自分ならこういう物語に
するだろう、という発想が湧くのだろう。だからあかりの仏頂面が気になった。また、のぞみには
揺るぎない信頼で築かれた“のぞみちゃんグループ”がないから、“おのみっちゃんグループ”
が見えず、あかりの気配り不足を注意するのだ。“おのみっちゃんグループ”は、あかりが、
出生の秘密を知り成長した成果。村上家の鉄の結束と、初音(富司純子)ばあさんのど根性を
土台とした“おのみっちゃんグループ”の成長=あかりの成長なのだ。これぞ「自助」、「共助」の
具体的姿?のぞみも、その仲間入りするのだろうか?如何なものか。
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