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明治維新の歴史認識 [歴史]

やっと、「龍馬伝」が終わったと思ったらまた、「坂の上の雲」が放送されている。
相も変わらず、明治維新を美化するドラマが国営放送・NHKで延々と放送されている。
坂本龍馬や秋山兄弟など、維新期、明治時代に立派な人物がいたことは確かである。
しかしそれなら、明治維新期に限らず、いつの時代でも個人的に立派な人たちはいた。
結局、明治初期の物語が語られる背景には、「明治維新の美化」がある。
歴史認識の一助に、明治維新の実態に関して、少し皮肉な見方をしておきたいと思う。

明治維新そのものが、自発的な活動でなかった点を充分に確認しておく必要がある。
黒船の来航などによる「外圧」に負けて、開国した当時の政府・徳川幕府と、外様大名の
権力争いというのが、正直な実態である。龍馬暗殺事件がそのことを雄弁に物語っている。
新政府となった薩長藩閥政治は、何の展望も持っていなかった。現代の民主党に似てない?
自分達の権力収奪が目的であった。その証拠には、憲法の制定に多年を要し、かつ民衆から
沸き起こる自由民権運動を抑圧し、彼らの創案した素晴らしい「日本国憲法」を踏みにじり
例の明治憲法を作った。

「天は人の上に人をつくらず、人の下に人をつくらず」で始まる福沢諭吉の「学問のすすめ」
は、明治5年(1872)に発行された。翌年、各県が組織的に購入し、小学校用教科書として
採用されたが、明治13年(1880)に文部省は、「学問のすすめ」を危険書物に指定した。
「学問のすすめ」は、当時の発行部数で300万部以上もあったという。日本人の自立への
意思は、当初から封殺されたのである。その傾向は、現代にまでに及んでいる?

日清・日露の戦争に勝って、国民は喜んだが、これらの戦争も非常に問題がある。
日清戦争(1894-5)は当初、「清国は、韓国の文明開化に干渉する賊国であり、義戦」と
宣伝されていたが、実は明治政府が朝鮮王朝の完全支配を狙ったもの?いわば後追い
植民地主義である。この戦争が、以後の歴史の方向を決めたと言っていい。明治政府の
無能ぶり、明治維新の大きな欠点が此処にある。この後、三国干渉に国民が怒り、日露へと
至る。日露戦争(1904-5)での旅順攻撃は、乃木希典司令官が無能という事になっていたが
実は情報不足による参謀本部の作戦計画の失敗や現地参謀の独走が原因だった。
こういう課題を陸軍内部の反省として伝わらない体質こそが、本質的な問題なのである。
明治維新を美化して、第二次世界大戦のみを悪者にしても仕方ないのでは?歴史を多角的な
観点から認識して過去の課題を組織として確認・改革する事が大切と思うが、如何なものか。
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