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一色正春・公益通報の新しい形 [社会]

尖閣諸島沖中国漁船衝突映像を流出させた一色正春・海上保安官のコメントが、今朝刊に
掲載されていた。要点だけを再録しておく。
“・・・前略・・・、事件を起こしたのは、政治的主張や私利私欲に基づくものではありません。
ただ広く一人でも多くの人に遠く離れた日本の海で起こっている出来事をみてもらい、
一人ひとりが考え判断し、そして行動してほしかっただけです。私は、今回の行動が
正しいと信じておりますが、半面、公務員のルールとして許されないことだったと反省
もしております。・・・後略・・・”

従来の公益通報(告発)は公益の為に限定的組織内不正を通報し糾すことが狙いだった。
だが今回の映像流出による通報の狙いは、限定的な組織の問題ではない。この通報は、
本人が、「映像を国民に知ってもらうことが公益につながる正義」と信じて行動した。
本人は政治的主張ではないというが、政権を担う政府・与党の映像隠蔽という強権発動に
明らかに‘No’ということを行動で示した訳である。
従来の公益通報(告発)者は公益通報者保護法で守られる事になっている。しかし今回は
上述の様に国家権力に対抗している訳で、反逆者の汚名を着せることさえ可能だろう。

私は、今回の一色氏の行動に対してある種の好感を持っている理由を書いておきたい。
まだ私が高校生の頃(昭和30年代前半)、フランキー堺の「私は貝になりたい」という
TVドラマがあった。上官の命令で敵の捕虜を処刑したのに、処刑実行者として裁かれる
話である。東京裁判の批判だったかもしれないが、民主教育を受けて多感だった私は
「国家権力者にでも立向うべき時には立たねばならぬ。」という風に学んだのである。
現在の政府或いは与党の対応が、昨日のブログでも取上げたが、余りにもお粗末過ぎる。
戦前の風土が今も残っているのではないか?日本軍の様に権力を嵩にゴリ押しに押す。

日本人は優しい。故に権力者は自分の好きな様に社会をかき回す。それを野放しにすると
権力を嵩にゴリゴリ押して、いつの間にか、また「私は貝になりたい」という人々を
沢山生み出してしまうのではないのか?
現代は戦前の様な全体主義社会ではなく民主主義社会のはずなのに、一色氏のささやかな
抵抗に、政府は狭い了見で度量もなく、国家権力の横暴を非難する言論も至って少ない。
国民は、「判官びいき」という弱者を応援する伝統の美徳までなくした?如何なものか。
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