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流行性感冒_5 [物語]

私が新型インフルエンザに大きな関心を持った理由は90年前のパンデミック(有力参考事例)
スペイン風邪に関する詳細な報告書(「流行性感冒」著者名 内務省衛生局)を読んだからだ。
3回に分かれて襲ってきた流行の第2・第3回の年齢別被害状況分析において、死者総数に
占める20歳代・30歳代の割合が、患者総数に占める20歳代・30歳代の割合を上回っている。
すなわち、虚弱者以上に、強壮者を襲い奪っていった、という事実である。
(第1回の流行に年齢別分析がないのは、流行の激しさによる混乱のせいだろう)

この事は、武者小路実篤著「愛と死」にも、資料「流行性感冒」にも記述されているが、
統計データとして明確な結果が出ていることに驚きを禁じえなかった。
今度の新型ウイルス脅威に対して私自身よりも孫達の心配が先に立ったのは当然であるが
このような客観的データから、更に子供達の方が自信のある分、危険である事に戦慄した。

そこで今の医学ならキッと原因を明らかにできるだろうと何の医学的予備知識もない私が、
スペイン風邪における強壮者の死亡原因究明と、その予防策という遠大な調査に乗り出した。
まずは、テレビ解説者の“抗体の過剰防衛”という発言をたよりに、図書館で検索した。
引っかかった本は、「よくわかる膠原病」、「アレルギーはなぜ起こるか」、読んでみたが
予備知識のない私にはまったく理解できないし、目的に合致しているとも思えなかった。
自宅本箱の中から見つけ出した安保徹著「未来免疫学」を読んだら何とはなく見えてきた。

「未来免疫学」は約10年前に入手した。今の免疫学の主流になっているか否か定かでないが
目的をもって読み直したお陰で、当初読んだ時よりも理解が進んだように思う。
強壮者の死亡率が高い原因については、私の理解として次のような仮説にまとめた。
1)ウイルスにはリンパ球で対応する。快方に向かった時に白血球の一種・顆粒球が活性化
2)顆粒球の活性化が肺の組織障害を引き起こす。証拠は解剖・膿所見と「愛と死」の記述
3)顆粒球の活性化は、交感神経系の細胞の活性化(元気な人)によって引き起こされる。
4)ウイルス担当でない顆粒球のいらぬお節介で、活性酸素を発生し細胞を破壊する。

治療法までには至らなかった。原因追求になっているかどうかも確証のない素人考えである。
しかし何事も仮説によって周りが見えてくる。頑張り過ぎは良くなさそうだ。如何なものか。

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