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だんだん・第22週 [物語]

22_2名取披露.jpg今週のNHKテレビ小説「だんだん」は、夢花(三倉佳奈)の京舞
名取襲名披露の会が華やかな話題だった。
そして松江の観光ガイド・田中彦四郎(曾我廼家八十吉)の娘・
田中節(久保田晃代)の舞妓志願の話が、また降って沸いてくる。
この物語は成長と挫折、失敗と成功の話が、まるで美しい織物を
紡ぐごとく紡がれていく。この世の中が偶然に支配されている事をkubota108.jpg納得できなければ、「だんだん」の物語は理解不能だろう。

夢花は、名取襲名披露の会・歓談の席で、「うちはいっぺん祇園を飛びださな
あかんかったんやて、今、そない思うてます。大勢の人に迷惑かけて、
お母ちゃん傷付けて。そやけど、そないして大勢の人と本音でぶつかった
さかい京舞の心に近づけた気がするのどす」と述懐した。
それに対してめぐみ(茉奈)は、「私はいつも中途半端だけん」と反省していた。
“偶然を必然にしていく”、言い換えれば理解不可能な様々な出来事を、人間にとって理解できる
結果へと導き、「だんだん」と言って感謝できるように生きていくということなのではないか。

免疫学の大家・多田富雄は河合隼雄との対談で、「生物の発生の過程においても全てが遺伝的
に決定されているのではない。偶発的な出来事を元にして異なった身体ができ、異なった個性が
できるという考え方が受け入れられている。」 と語っているのである。我々自身が、個として生れ
出る過程においてさえ既に、数多くの偶然に支配されているのだ。 蛇足を加えると、
多田氏は「生物学的に見て老いとは単一な現象ではなく、多様な現象だ」と言っている。

めぐみ、のぞみのおばあちゃん・はつえ(三林京子)は膵臓肥大で胆管が詰まり入院した。
めぐみは一緒に住んでいて気付かぬ事を後悔するが、石橋(山口翔悟)も自分の父親の症状を
見過ごし、一夜にして父を喪い、医者の道を志しながら、芸能界に転向した経緯があった。
そのことを石橋はめぐみに打ち明けて慰めた。 めぐみは挫折もするが、患者を心開かせて
ストレスを解き快方に向かわせてゆく。石橋とめぐみ、そしてのぞみと康太(久保山知洋)は
着実に“絆”を深めてゆく。 いろいろな偶発的な事件で多様に展開するこの世を、如何様に
読み解くのか、思えば“生きること”は実に興味深い。 如何なものか。

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