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オバマ就任演説 [社会]

RTR200901200148オバマ.jpgオバマ新大統領の就任演説の全文(英文と対訳)が朝刊に出ていたので、内容解説と感想を述べたい。内容は、
1)危機の最中 2)米国の偉大さ 3)米国再生
4)世界は変わった、5)新しい責任の時代、そして、
6)次の世代のための自由、 に分けて述べられた。
以下、オバマ氏の言説は 「 」内に入れて区別した。

<危機の最中> では、「この日、我々が集まったのは、紛争や不一致を超えた目標の統一、恐怖を超えた希望を選び取ったためである。」と、
黒人初の大統領という歴史的な出来事を上手に利用して、現実の危機を、歴史的な過去の様々な困難を思い起こさせながら、克服できることを説いた。 
“100年に1度”などのキャッチーで安易な表現とは異なる。 深みがある。

<米国の偉大さ> では、 「我々の不屈の精神を再確認し、より良い歴史を選択し、全ての人は平等で、自由で、十分な幸福を求める機会を持つに値するという、神から約束された気高い考えを推進する時が来た。」 「我が国の偉大さを確認するとき、それらは決して与えられたものではないことに気付く。」 「大洋を渡った先祖の労苦を、そして、独立戦争、南北戦争、第二次世界大戦、ベトナム戦争などで戦い死んで行った人々のことを回顧する時、我々の旅、我々の時代は、それらの延長線にある旅だということがわかる。今日から我々は立ち上がり、米国再生の仕事にもう一度着手しなければならない。」 と、畳み掛けてくる。

<米国再生> では、「経済の成功はGDPの大きさだけでなく、繁栄の範囲や意欲ある全ての人に機会を与える能力による。」 といささか哲学的だ。この項は議論も多いところだから省略する。

<安全と理想> では、「前の世代は我々の安全が(ミサイルや戦車だけでなく)、大義の正当性や模範を示す力、謙虚さ、自制心からもたらされるものであることも知っていた。我々はこの遺産の管理人である。もう一度これらの原則に立ち戻り新たな脅威に向かっていかなければならない。」 と軍事力などによる“ハードパワー”ではなく“ソフトパワー”を大いに活用する方向に舵を取ることは明らかだ。

<世界は変わった> では、「米国と同様に比較的満たされた国々は、国境外の国々に無関心でいることは許されない。影響を考えずに世界の資源を消費することは出来ない。世界は変わったのだ。だから我々も一緒に変わらなければならない。」 「一つの世代を定義するこの瞬間において、我々すべてが受け継がなければならないのは、正にこの奉仕の精神である。」
この論調は、明らかに消費、いや浪費社会と見られていた今までの米国と明らかに異なる。日本の政治家にはこんなことは言えないだろう。昔“貧乏人は麦を食え”と言った人はいたが。

<新しい責任の時代> では、「我が国が頼れるのは、結局国民の信念と決意である。」 「我々の成功は、誠実と勤勉、勇気と公正、寛容と好奇心、忠誠心と愛国心という価値観にかかっている。これらの価値観は古いが真実である。求められている事はこれらの真実に立ち戻ることである」

私は、この演説内容を読んで涙が出た。日本ではこれ程に自国の歴史を尊び、戦没者を崇めることは出来ないと。“勝てば官軍、負ければ賊軍”という言葉があるが、勝敗以上に、日本国民の心の中には深い傷が残っている。それはうらみつらみではない。民族としての、個人としての自信が揺らいだためである。日本国内における罪のなすりあいが続く限り、誠の自信は戻らない。演説でも述べられている通りに、米国も南北戦争や人種隔離の苦い経験を乗り越えてきている。日本にも責任のなすりあいを乗り越える力はあるはずだ。 靖国問題などいろいろ個々の問題はあるだろうが、そういったものを乗り越えた高い次元での問題解決によって、日本の、日本人の自信を、言い換えれば、日本人の真実を取り戻して欲しい。 如何なものか。

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