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続・東京家族物語 [物語]

今日は、朝方少し冷え込んだが、昼間は暖かで晴れ間も多く、気持のよい散歩ができた。
東京家族物語について、本歌取(昨日のブログ参照)の観点から感想を書いてみよう。
私は、50歳代~60歳代?にテレビ放送で『東京物語』を見た頃と違い、「東京家族」における
平山周吉(橋爪功)・とみこ(吉行和子)夫妻の事を大変に身近に感じた。
それは、現在(2012)という時代背景と共に、周吉(72)・とみこ(68)の年齢が、自分たち
夫婦の現在とほとんど重なり合っているからである。人間的側面から見た場合も、周吉の頑固さ、
扱いにくさと共に、とみこの優しさ、おおらかさというのが我が家と似通っている。
だからこそ、とみこの突然の死は実に切なく身につまされ、多くの事を考えさせられた。

『東京物語』の場合には、周吉(笠智衆)・とみ(東山千栄子)は、私と生きてきた時代が違う。
『東京物語』における周吉にとって私は、「東京家族」で言えば、長男幸一(西村雅彦)・文子
(夏川結衣)の子ども(実:柴田龍一郎、勇:丸山歩夢、即ち周吉達の孫)に当る。
『東京物語』では、私は周吉の孫、「東京家族」では、私は周吉自身で、実や勇は私の孫達に
ぴったり符合する。『東京物語』という映画をモチーフとした「東京家族」は、実に五世代に
渡る時代の変化を背景にした奥行きを持っているということになる。

『東京物語』の周吉が成人した1900年初頭から、現代まで約110年の年月を経ている割には、
映画として鑑賞した『東京物語』と「東京家族」の間に、大きな隔たりを感じなかった。
この感想は、私個人のものではなく、出演された俳優さんの多くも同様の感想を漏らしていた。
なぜなのだろうか?大きな原因の1つは、第二次世界大戦という未曾有の出来事で、世の中が
ガラリと変わった後だからではないか?そう考えるとき、『東京物語』における周吉・とみの
不満と喜び、幸一(山村聰)ら子どもたちの行き届かぬ心や悩み、そして次男の戦争未亡人紀子
(原節子)の優しさ、素晴らしさ、悲しさが、なおのこと鮮明になってくる。

「東京家族」はそういう風に見ると『東京物語』の引き立て役にという事になる。しかしだから
子ども達の幸一(西村雅彦)・文子(夏川結衣)、長女の夫・金井庫造(林家正蔵)などが
『東京物語』に比べて優しい事にホッとできるのである。庫造が、駅前温泉に誘う場面など
泣かせるではないか?次男昌次(妻夫木聡)は、現代的で『東京物語』的常識から外れているが、
新旧世代をつなぐ婚約者・間宮紀子(蒼井優)の出現によって家族から認められた。
「東京家族」もまた、『東京物語』によって、引き立てられているのではないか? そして
紀子は、『東京物語』「東京家族」の二つの物語のキーマンであると共に、時代を超えた日本の
変わらぬ素晴らしさの象徴として描かれているのではなかろうか?如何なものか
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