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絵画音痴の絵画話 [閑話]

先日マウリッツハイス美術館展を見に行った時に、ブリューゲルの絵に出合った。
それは、第5章「静物画」 34番 ヤン・ブリューゲル(父)作
<万暦染付の花瓶に生けた花>:1610-1615頃制作 という作品だった。(画像URLは以下)
http://blog-imgs-55.fc2.com/b/l/e/bleuvertantique/20120712114533b60.jpg
バラとチューリップを中心に、水仙に蝶がとまり、テーブルにてんとう虫が居る。

何が、絵画音痴かというと、その絵の説明書きの解釈力だ。説明には
「著名なピーテル・ブリューゲル(父)の息子であるアントワープの画家
 ヤン・ブリューゲル(父)・・・・・云々」とあった。
私の近くで見物していた二人ずれの女性の一人が、盛んに「この記述はおかしい!」と
不服そうだった。普通は見過ごしてしまう問題だ。なかなか日本語堪能な女性である。
ネイティブな日本人だろう。ただこの文章の解釈は、絵画音痴でも正しく解釈できる。

「(父)の息子=(父)」という論理は、成立たない。
しかし説明書の記述は、「某A(父)の息子=某B(父)」だから、成立つ条件はある。
それは、某Aにも、某Bにも、同姓同名の子どもが居る場合である。此処での
“(父)”、“(子)”という記述の意味は、同姓同名の父子の区別だった。
その場合「某A(父)の息子=某A(子)」、「某B(父)の息子=某B(子)」は成立つが、
「某A(父)の息子=某B(子)」は、間違いという事になる(某B(子)は孫になる)。

不服申し立ての女性は、「某A(父)の息子=某B(子)」と訂正すべきだと言っていた。
彼女は、“(父)”、“(子)”という記述の意味を、一般的な父子関係の説明と解釈
したのであり、その限りにおいては決して間違ってはいなかった。
しかし絵画通の人々からすると、常識もない絵画音痴と思われるのではないか?

その場に居た私は、何とか、簡潔に説明できないか?と思ったが、
絵画音痴で知らぬ事の多い私としては、下手に恥を掻かない方が良いと判断して
口を噤んでしまった。その時の絵画知識抜きで説明する宿題を、このブログで果たした。

現在の歌舞伎や落語の襲名披露でもわかるが昔の人は、同姓同名の親子が多かった。
オランダ等ではピーテルは聖ペトロ、ヤンは聖ヨハネを意味する。特に著名な聖人に
あやかりたい人々の願いが、多くの同姓同名を生むというわけである。如何なものか
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