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梅ちゃん先生・17回に思う [物語]

今日は早朝、梅子(堀北真希)が、勉強しながら机にうつ伏せになって、うたた寝している
場面から始まる。父・建造(高橋克実)の気配で目覚めた梅子に、「今夜勉強をみてやる」
という父の優しい言葉。喜んだ梅子だったが、見てもらった結果は、余りの進捗度の低さに
建造は再び「医者を舐めるな!」という決め台詞で叱られてしまう。悲しみの余りに、一旦
外に出た梅子だったが、「ここであきらめたら一生、松竹梅の梅のままだ」、という思いに
突き動かされ、ふたたび家に戻って、勉強する体勢に入った。

そして、泣きながら、医者になりたいと思った動機をトツトツと語る梅子であった。
建造が、ヒロシ(細田龍之介)を助けた時、肺炎の女の子〔木下早苗(竹富聖花)〕の為に
一生懸命尽くしていた時に、梅子は医者の素晴らしさを実感し、医者になりたいと思った。
祖母・正枝(倍賞美津子)が真っ先に反応して「応援するからトコトンおやり」と声援。
姉・松子(ミムラ)も、そして母・芳子(南果歩)も、盛大に応援する事を宣言してくれた。
この時のナレーションでは、“梅子の懸命さが皆に伝わった!”と言っていたが、建造は、
相変わらずこういう時の決め台詞・「勝手にしろ!」だった。梅子が外に出た時には、
「早く諦めさせるのも親の務め」と、建造が、正枝、芳子、松子ら3人に尤もらしく説明し、
3人も建造の意見になびいていた感があったのである。「君子豹変す」というのだろうか? 

そして今日最後のシーンは深夜懸命に勉強する梅子に睡魔が襲ってくる話だった。優しい
正枝、芳子、松子ら3人が次々と夢の中に現れ、一旦目覚めるが直ぐにまた寝入るのだが
次に「勝手にしろ!」とどなった建造が夢に現れた途端、梅子のマナコがシャッキリ!!
人間を育てるには、本人を好きなようにさせておく懐の深い母性愛も大切であるが、
そればかりだと、甘えた人間になり、高く苦しい目標に挑まない。目標に挑戦しても
挫折しそうになった時に、梅子の夢に出てくる憎たらしい父親の如き、壁になる人間が
居ないと、ナニクソッという踏ん張りが利かないのである。

A.フロムが、鈴木大拙の英文の著書を引用して、次ぎの様なことを書いている。
「禅で本当の意味で教え得る事は、如何なる権威でも、教師でも、疑問を抱かせること、
 それ以外には何も無い。言葉や思想体系は簡単に、偶像に変わってしまう危険がある。
 生命自体を躍動するままに捉え、体験しなければならない」

「梅ちゃん先生」の物語に置き換えると、粗忽者の梅子が、医者に目覚めたのは、
大拙の説く“疑問を抱かせる事”に相当するだろう。それは、梅子の生き方に干渉せず
伸び伸び育てたこと。父親の生き様が、権威や教師、医師として素晴らしかったから
梅子の女医志望という挑戦が、生まれたのである事に間違いはない。
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梅子が医者に目覚めたのは、大拙の説く“疑問を抱かせる事”に相当するというのは
どういう意味か?それは、建造という立派な医者が身近に居ながら、どうして自分は
医者を志望しなかったか?という疑問である。そして行き着いた答が「松竹梅の梅」
これは、自分から人生を諦めている事に気付かされたのである。
しかし父・建造も兄・竹夫(小出恵介)には、疑問を抱かせる前に、竹夫の生き方に
介入して教育に失敗。竹夫は終戦後、大拙の “疑問”を抱く。竹夫の疑問とは、
「本当の意味で医者になる事とは、どういう事か?言葉や思想体系を学んで国家試験に
 合格すれば簡単になれる、というものではないだろう?」という疑問ではないか?

そして建造が、梅子の女医志望に対して、強固な壁として立ちはだかり続けるのも又
その事を言いたいのではなかろうか?少なくとも、下村家における医師や医学に関する
考え方は、医学知識・技術を物神化(偶像化)しない立場である事に間違いは無い。
だから、竹夫も干渉されなければ、もっと早く彼の“疑問”を感じとれた可能性はある。

現代は明らかに教えすぎの弊害が大きい。そしてその事に何の疑問も抱かず、本来なら
早くに気付くべき“疑問”から目を逸らされている事さえ気付かず、様々な不平不満が
内攻する。それを金や女、酒・薬やバクチ、そして名誉欲で隠蔽しているのではないか?
そういう乱れた時代には、言葉や思想体系を物神化(偶像化)してしまう。
今後の「梅ちゃん先生」は、医学知識・技術の物神化(偶像化)に対して、如何にして
対処し、その排除に努力しているか?という視点での視聴も楽しみだ。如何なものか
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