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モンスターペアレントと負のサイクル [希望]

友人からの情報で、教師がモンスターペアレントを提訴したニュースを知った。教師→モンスターペアレント
提訴は始めての事らしい。労働災害の件数でハインリッヒの法則というのがある。
1つの重大事故には29の軽微な事故があり、その背後に300の不安全行動があるというもの。
この法則を今回の事件に適用できるなら、教師→モンスターペアレント提訴の裏には教師側から見て
モンスターペアレント的不平不満現象が、300件は隠れていると見るべきかもしれない。

今後、教師→モンスターペアレント提訴は社会現象になる可能性もある?そこで教師→モンスターペアレント
提訴問題を私の言う「負のサイクル」という観点から読み解きたい。「負のサイクル」とは
労働災害等に例えれば、潜在的不安全の段階で対策を講じて事故を未然に防止すべき所を、
未然防止の歯止めが利かなくなり、事故増加のサイクルをたどる事である。制度が立派でも
運用上のplan-do-see学習が不味ければ、「負のサイクル」を断ち切る事はできない。

まず、義務教育課程の子弟を持った一般的モンスターペアレントについて、私なりに整理しておきたい。
モンスターペアレントとは現象であり、それを体現する人々は経済的弱者のみならず地理的その他の
理由で私立学校に行かせられない富裕層も含まれていると考える。公立の義務教育課程は、
従来からの伝統を引継いでおり、現代における父兄の多様な要望を受入れる体制にない。
従来 社会風土的には義務教育課程は共同生活、集団行動の訓練の場と位置づけられ、
戦前は富国強兵を育成する色合いが濃厚であった。戦後、民主主義が受け入れられたが、
従来からの社会風土が、ある意味では悪平等主義に傾く可能性を内包していた。
もう一つの現象は精神的側面において従来の教育を受けたペアレントが、教育基本法に謳われて
いる教育の目標とは程遠い歪んだ精神的発達でモンスターになっていると考えられる事である。

この様に概観すると、教育風土には欠陥ともいえる部分があるとはいえ、民衆の多くは、それを
受入れているようにみえる。そういう曖昧な状況でモンスターペアレント現象は、国家やその下の教育
(家庭教育を含む)や制度、社会風土の問題なのだろうか?
教育基本法を読む限り、制度に大きな欠陥があるとは考えられない。
モンスターペアレント現象が、未だ少数派であることからすれば、モンスターペアレント現象は国家やその下の
教育(家庭教育を含む)や制度、社会風土問題もさることながら動的な行動連鎖の結果では?
即ち、制度運用上のplan-do-see学習の問題、「負のサイクル」問題ではないかと考えられる。

それが今回、一歩踏み込んで教師からの提訴までになった。公共の場で教育者と一般人が
同次元で争い、裁判所で決着を付けることになった事は、深く受け止める必要がある。




私は一教師がこう言う形で争わなければならなくなった(文科省をはじめ、教育研究に携わる
組織・人材、或いは教職員組合等)教育者側の問題を指摘しておきたい。教育基本法の第九条
「教員は、自己の崇高な使命を深く自覚し、絶えず研究と修養に励み、その職責の遂行に努め
なければならない。」と、書かれている。教育研究者は、現場最前線で苦労している教師の立場に
自分をおいて、崇高な使命、研究と修養に基づいた、現場教師が父兄を説得できる信念や方便を
研究すべきである。また父兄が納得する教育改善の方向性を打出すべきである。改善内容には
公立学校教育、育児環境、子ども社会環境などを総合的に考えた子育ての多様な方法論を提示
する事なども含まれるだろう。モンスターペアレント現象を評論家のような観点で他人事として論じる
のではなく、現場の状況を十二分に把握し、plan-do-see学習を重ねて、負のサイクルを断ち
切るべきである。現場教師や彼らをサポートする校長、教頭、その他スタッフ、教育委員会等が
チームで子育てに悩む父兄に適切なアドバイスが出来るような人材を輩出すれば素晴らしい
と思う。そういう教育者側のチームワークがあってこそ教育者チームは真の教育者といえる。
如何なものか

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【みなと】

日本も訴訟社会に突入するのか否か・・・この裁判を注意深く見守っていきたいと考えております。
by 【みなと】 (2011-01-20 10:03) 

moto

提訴した教師を責める気はありませんが、現場最前線の教師を盛りたて、裁判ではなくチームワークで難局を切り開く環境をつくってあげたい。
争うのではなく、助け合って難局を打開する教師陣の生き様も、人間教育にとって大切だと思います。
by moto (2011-01-20 18:11) 

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