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「てっぱん」8週・絆の再構築 [物語]

先週から今週にかけての「てっぱん」の展開は、強引に開かずの間をこじ開けて、あかりに
お好み焼き屋をやらせるための、回りくどい説明だと思いたくなる不味い筋の運び方だった。
一杯、色んなものを書き込みすぎた絵のように、省略の美、余白の美しさに欠けている?
しかし人生も、キチンと構成された絵のように綺麗には仕上がらない。作者は人の生き方を
示したいのかもしれない。そういう観点からの今週の「てっぱん」では、家族の絆を鉄板の
溶接に譬えた話が面白かった。冬美(ともさかりえ)が故郷から戻ってきて、予想通りに
店を止めることを発表した時点で、あかり(瀧本美織)が店をやりたいと言い出した。

父・錠(遠藤憲一)に、「店をやるのは不安一杯(苦労することを予想)。でも尾道の家族と
大阪の家族・初音(富司純子)の両方を忘れないようにする為のもの」と思いを伝える。
父・錠は、それを溶接に譬えて、「熱うて気が抜けん骨の折れる仕事じゃ。」
「ほじゃのに、お前はわしらのことをそうせずにはおれんのじゃろう」と、表現した。
その様な苦労は、客観的にみれば、亡き母・千春や祖母の初音が作り出したものである。
しかし、それを恨んでみても決して人生を好転させることはできない。
恨みや憎しみからは幸運は生れず、不幸ばかりが生れてくるだろう。

私は、あかりが、この店を開くことにこだわるのは、自分の居場所を作るためであると思う。
あかりにとり、尾道の家族はなくてはならない大切な家族であるが、自分が養子である事を
知った以上は甘えているわけにも行かないし、知らなかった以前との断絶を日常的な演技で
誤魔化すことも出来ない。また初音のところに下宿して、アルバイトしているのでは将来の
展望がない。初音が千春を女の細腕で育てるために必死でやってきた「お店」。結局は
母と子が、こころの行き違いで、かわいい子どもであり孫であるあかりを他人の手で育てる
運命となった「お店」。母や祖母の汗と涙の沁みこんだ「お店」をやる事が、母や祖母の
思いを理解し、近づき、家族として絆を深めてゆく、かけがえのない道だと思ったからだ。
この「お店」をやりぬく事が一人前になること。初音の心を溶かせて、千春との家族の絆を
再構築すること。尾道の家族との絆の再構築にも最適だと信じるからだと思う。

「てっぱん」という物語は、あかりの成長物語、家族の生き方、家族のつくりかた、など
様々な見方があると思う。その中でも、「家族の絆の再構築」という見方は、家族の崩壊が
叫ばれて久しい現代に相応しい見方ではないだろうか?如何なものか。
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