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日本的美意識 [社会]

日本的美意識については沢山の人々が様々な側面から論じている。それだけに日本的美意識が
実際生活上で、どのような働きをしているか?最近ではあまり考察されていないのではないか?
手元の福田恆存(1912~1994)の著作「日本と日本人」[文藝:昭和29年~昭和30年]は、
当時、1年間の洋行帰り直後に書いたものである。そこには、日本の特質と西洋との対比、戦後
日本における思想・道徳などの混乱を示した上で「日本人の“調和を愛する感覚的美感”を土台に
しない限り動きがとれない。」と書かれている。‘和魂洋才’の行き詰まりの指摘である。

洋才を使う事(猿真似)は上手だが、それを使う事によって生ずる社会への影響について、日本人
としてどのように対処すべきか?それは日本人本来の遺伝子をベースに考えなければならないと
いう事である。即ち洋才によって生じた産物をどのように消化して、国のため、人のために役立て
るのか?という観点は、日本人の遺伝子や体質を考慮しなければならないということだ。
その時に、よって立つものとして、福田恒存は‘日本的美意識’が適切だというのである。
福田は、‘日本的美意識’には長短両面があることを認めながら、“当時の進歩主義者は、日本人
の長所を否定し、その裏返しの短所に寄りかかっている”、と非難しているのである。

私は、福田の意見を読みながら、半世紀以上を経た今日にも通用する事に忸怩たる思いがする。
福田は‘日本的美意識’から発する短所も正直に指摘している。戦前の泥沼化への道を否定し
得なかった民衆の心情を、単に功利的なだけではなく、調和(和)を大切にする美感から、大勢を
乱すことへの躊躇があったと推定している。それは現代の‘過労死’等にも通じる心情ではなかろ
うか?‘過労死’に至るまで働くというのは、功利的なだけでできる事ではなかろう。
また最近の子供たちの“いじめ”で、「臭い」、「汚い」などといじめて自殺に至ったケースもあるが
それらも‘日本的美意識’の悪しき側面であろう。しかし、‘日本的美意識’は日本人の体質の中
には、深くある特質であり、素晴らしい日本の長所でもあるのだ。

民主主義や自由主義、どんな考え方でも長所ばかりではない。‘日本的美意識’には西洋文化の
視点から見ると、様々な弱点を持つが、西洋文化の弱点を補って余りあるものがあるのでは
なかろうか?そのような非西洋の素晴らしい特質をよく理解して、その長所・短所を弁えて、
その上で自分達の文化という地に足のついたやり方を真剣に考えてゆくべきではないか?
鳩山政権が、未だに50%以上の支持率があるというのは、日本人の美意識の賜物ではないか?
正に鳩山政権は、‘日本人的長所の裏返しの短所’を利用しているともとれる?如何なものか。
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